案山子のあぶく

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◎私だけ

カラオケでは絶対に
ロンリー・チャップリンを歌って、
毎回90点台を叩き出すJKって
私だけかしら。

母校で、朝読書の時間に
国語辞典を読んでいたのは
私だけかしら。

狐を手で形作る時、
どうやっても小指をたてられないのは
私だけかしら。

夜、暗い道を歩く時、
周りに好きなキャラクターたちが居ると
自分に言い聞かせて歩くのは
私だけかしら。

墓地で、
そこには居ないはずの妹の声で
「お姉ちゃん」
と誰かに呼びかけられたのは
私だけかしら。


「私だけ」とか
どうやっても確かめることは出来ない。
でも、ひとつだけ。
確実な「私だけ」がある。

「今、この場所に立っているのは私だけ」

誰が何処に居るか、なんて大したことない?

でも、歴史は
「誰かがそこに居て別の誰かと出会う」
それの繰り返しで紡がれてきた。
過去の偉人も英雄も、誰かと出会って影響を受けた。

私が此処にいる。
それだけで、誰かに影響を与えている。

私たちは歴史の中に居る。
誰にも覚えられてなくとも、私たちが生きた証は後世に残り続ける。

人生って面白い、と思うのは
私だけかしら?

7/18/2024, 10:53:34 AM