黄昏時の空をカラスが飛んでいく。ただ一羽、群れもせずに。
私の息子は小さい頃から少食でよくつぎ分けられたおかずを残したものだった。流しの三角コーナーに捨てられた残飯は水を切って小さな透明のビニール袋に詰め込まれていた。その息子も既に成人し私たちのよく知らない街で暮らしている。好き嫌いする悪癖はいまだに治っていない。
そんな悪癖を持ったどこかの誰かの残飯を、糧にしてカラスたちは今日もねぐらに帰るのだろうか。
一羽のカラスはいつしか夕闇に紛れ、そして消えていった。
#哀愁を誘う
11/4/2024, 3:02:26 PM