─快晴─
えー、実はわたくし、先日死んでしまいまして。
とても他人事のように言ってるって?いやいや、自分でも驚いてますよ勿論!
でもねぇ、その死に様がこれまた綺麗なモンで。
今日はそれを話したくて来たんですよ。
わたしが死んだ日はね、真っ青な空が広がる快晴だったんですよ。
その日は、特別大事な用があった訳でも無かったのでね、散歩に行こうと思いまして。
実はわたしの家の裏には、大きな山がありまして。
これまた見事な桜が咲いているんですよ!
しかもあまり知られていない、穴場だったんです!
だからわたしはその山をとても気に入っておりました。
勿論今年も、見事としか言えないような桜が咲いておりましたよ。
5枚の花弁が風に揺られ、その下には散った花弁の絨毯がありまして。
どうやらわたし、その桜に魅了されましてね。地面なんて見てなかったんですよ。
その先に階段があることを忘れて…。えぇ、皆さん御察しの通り、落ちてしまったのです。
薄ピンクの絨毯に、赤黒い血はとても目立ちました。
そのあとは眠るように…という感じですね。
人も居ない田舎町だったもんで、私が見つかったのかも分かりませんね。
これこそ桜の木の下には死体が埋まってる、ってモノですね。
なんと浪漫ある死に様でしょう…わたくしはとても感嘆したのです!
只でさえ綺麗な桜の下で…おっと、長く話し過ぎましたね。
長くなると止まらないので、これでわたしの最終章は終わりと言っておきましょうか。
是非貴方の死に際も、此方に来た際にお聞かせください。では、また何時か。
4/14/2024, 6:04:17 AM