ちゃしろこん

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「泣くなよ」
「うう、だって」
遠くまで引っ越すことが決まった日、僕はいの一番に親友に伝えた。幼い頃から泣き虫だった彼は話を聞くやいなやすぐに涙を流した。
「二度と会えなくなる訳じゃないんだからさ」
「それでも、ずっと一緒にいた君と別れるのは嫌なんだよ」
泣き止む気配が一向に無い。困った。ふと空を見上げると、秋晴れの空が広がっていた。
「あ…。なあ、見ろよ。綺麗な空」
「え?…本当だ、どこまでも青いや」
「寂しくなったら、この空を見あげればいい。離れていても、空で繋がってるって考えれば多少は寂しさも薄まるだろ」
「うん…そうするよ。見上げる空は同じだもんね」
親友はブランコから立ち上がり、改めて空を見上げた。その目からもう涙は流れておらず、代わりにどこまでも続く青が写っていた。

10/23/2024, 1:17:11 PM