※この作品には少量のグロ、性的描写が含まれています
※苦手な方は次の作品をご覧下さい
“雲類鷲 雫(うるわし しずく)”という人間は異質な個体だっただろう
産声をあげてよちよち歩きまでは良かったが掴まり立ちよりも早く喃語を話し自力で立ち上がれる頃には言葉を理解する知力もあった
最初こそは天才だと称賛の嵐を受けていたが3歳を越えてからは気味悪がられる事の方が増えていた
歳不相応な本や論文を手に取って辞典とパソコンを用いて小さな手で言葉を学ぶ様は両親も恐怖を覚えただろう
クレヨンで絵を描くよりも“クレヨンは何で出来ているのか”とかを調べたり絵画を調べたりする方が好きだった
色の交わりをクレヨンを溶かして学ぶのが好きだった
なんならクレヨンを作る方が好きだった
枠が決まった塗り絵とかよりも真っ白な画用紙に手作りのクレヨンで色を乗せて風景画を描く方が好きで
なんならクレヨンよりも絵の具の方が好きで
そこから絵の具の作り方を学んでは水彩画に行き着いたり
まぁ絵を描くという行為に半年で飽きたのだが
そこからは“父親という役割を与えられた個体”が所持するカメラを分解して再構築するを繰り返したり
“母親という役割を与えられた個体”が所持する化粧品の作り方や原材料を調べたり
調味料の作り方や制作方法で味が変わる理由を知ってからは環境問題に興味を持ったり
小学校という学業施設に身を置くまではソレはもう自由に学んで自由に吸収してきた
小学校というものはそれはもう退屈極まりない
決まった範囲内に収まらなければいけなかったし
興味が有るものも無いものも平等にスケジュールに組み込まれるし
齢5歳で親から白旗を上げられて金を渡すから関わらないでほしいと家から逃げ出された雫にコミュニケーションの大切さを説いて自分よりも知能の低い同年代とグループにされる
同年代は非常に感情的で思い通りにいかなければ怒り喚き泣き叫び
自分で“どんな行動をすれば思い通りの結果を得られる”と学ぶ前に癇癪を起こす周りに辟易する事が多かった
煩わしい事この上ない
《もっと優しい言葉で相手に寄り添ってあげて》と言われた事もあるが寄り添うというのは相手が相応の人間であると理解した上で出来る事だと反論した
ただ寄り添うだけで学びを得られるのなら誰しもがそうする
だが歳を重ねるごとに“寄り添う”とか“寄り添ってもらう”だけじゃ何も通用しなくなる
“寄り添われたいなら寄り添われる為の技術”が必要なのだ
裏を返せば“寄り添いたいのなら寄り添う為の技術”が必要でもある
雫は“心の寄り添い”よりも“利害の一致”や“需要と供給”の方が100倍理解が出来て意味があると思ってる
寄り添う事で利益に繋がるのならいくらでも寄り添うが雫が求めてるものを供給する個体は早々現れない
だから寄り添う必要性を感じなかったのだ
感じれなかったのだ
だから同年代や歳下は勿論、一定の大人とも関わらなくなった
愛嬌を振る舞うのも知能を下げて気を遣うのも疲れるから
13になる年になってからは登校日数を増やしてテストだけ受けてくれれば良いと担当教員に頭を下げられて初めて学校に通うようになった
窮屈な制服のボタンを閉じて長い前髪を耳にかけて特徴的な跳ね毛を揺らしながら春風を切る
周りの視線なんて気にする事なく入学式を終え、教室で自己紹介というものを端的に済ませて、その日以外は教室では無い何処かで時間を潰す
登校はしてる
テストは受ける
最初頭を下げた教員の言葉はしっかりとこなしながら興味がある授業にだけ参加する
クラスメイトからは“綺麗で可愛くスタイルが良い”という見た目の印象と“不気味で自己中で協調性が無い”という中身の印象を与えた
結果として見た目に寄ってきた男は“つまらん”という一言で一蹴
中身の悪さが噂立つ頃には孤立を極めて雫にとっては居心地が良かった
図書室で興味深い本を手に取って読める
理科室に隣接した実験室から物を拝借して好きに使う
パソコン室のパソコンのパスワードや設定を変える遊びも結構楽しかった
勿論全て元に戻すし授業の邪魔にならない範囲の時間帯を選んで行った
《自分が好きに行動するとしても、ソレが他者のやるべき事を邪魔していい理由にはならない》
ソレだけは一丁前に理解していた
だから授業を受ける気がない自分は受ける気がある他者と同じ空間に居るべきでは無いと判断したし
授業があるのなら自分が特定の部屋を陣取る事はしない
その行為が誰かのやる気を削ぐ事に繋がるのなら極力邪魔しない方が良い
だから屋上の出入口の裏
掃除が行き届いていなく誰も使用した痕跡のない狭い空間を私物で綺麗にして己の空間にした
基本的に屋上は不人気の場所だ
雫が入学する少し前に飛び降り自殺をした女生徒が居たらしく幽霊となって出てくるらしい
以来授業で使用しない限りは生徒がやってこない
無論教員も
まるで小人でも住んでるのでは?と勘違いするクオリティの秘密基地が完成するには半年の時間を要した
夏でも涼めるように太陽光発電を利用した蓄電器を設置して小型クーラーも完備
チープな折り畳みだが椅子も机もある
寝転がれるようにブルーシートの上に乗せられたセミシングルのエアベッドもある
勿論エアベッドの上には触り心地の良いタオルケットとクッションもある徹底ぶり
テント替わりになる撥水加工のシートと断熱材の確保は入手に困ったが上手く外壁に溶け込める色合いのものを見つけれて学校外から通報されないように対策もしてる
中にある小型ライトの光が外に漏れないように中は遮光カーテンを利用してた
雫の第2の自室状態と化した秘密基地は誰にも見つかる事なく次の学年へと上がった
新しい担当教員は授業にも出て欲しいと雫に言ったが即断った
それで背中を丸めトボトボと帰ったとしても同情はしない
“雲類鷲 雫という個体が中学校に登校してテストを受ける”という快挙を成し遂げ教員室で褒め称えられた元担当教員を前に現担当教員はそれより上の快挙を求められたのだろう
だがソレは現担当教員の問題であり雫がわざわざ身を呈して合わせる必要は無い
ソレを考えると元担当教員は良い妥協点を見つけて提示できていたのだなと強く感じた
……
学年が上がって2ヶ月
とある男子生徒が雫の楽しみという楽しみを尽く邪魔するかのように自分を探し始めた
独りで過ごす事が好きな雫にとっては厄介な存在だった
しかも相手は雫と同等の学力を有してる
テストの点だけで言えば同率1位として名前が並ぶ事の方が多かった男子生徒だ
名前と当人の噂は知っていれど好きな事を邪魔されて良い気分にはならない
『やっと見つけた。』
そう言って秘密基地の出入口を開ける彼
身長170越えと高く、白い髪と長い前髪を留めてるのであろう黄色の三角型ピン留めを2つも付けて誰にでも好かれそうな笑顔をこちらに向ける
長く白い睫毛に左目の下にある涙ボクロ
男性にしては白い肌
制服のボタンはキッチリ上まで閉じて腕まくりも無しと着崩れ一切見当たらない
コレが“湖登波 陽彗(ことは ひせ)”という“良い子”との出会いであり
「気色悪い笑顔を浮かべながら人を探すな、厄介野郎。」
初めての会話である
………………
そこから夏という季節が到来する頃には陽彗は雫の秘密基地に平気で遊びに来るようになった
最初こそは“授業に出よう”と誘われまくったから嫌悪感満載で対応していた雫だが
今となっては一緒に冷たいお茶を飲みながらクーラーの効いた涼やかな秘密基地で会話をするくらいの関係だ
『雫、前開けすぎじゃない?出るもん出てるよ?』
夏になると今にもボタンが弾け飛びそうなワイシャツを着崩し
最早下着に包まれた豊満な乳房を丸出しにするくらいが当たり前になってた
「気に食わないなら出てけ、此処は私が作った私の空間だ。」
そう言いながらくてぇとエアベッドに寝転がりながら答える
綺麗な白銀色の瞳が黒い下着に包まれた柔らかな乳房に向いては無理やり視線を戻すように目を合わせる
『気に食わないじゃなくて目のやり場に困るかな〜…。』
「じゃあ椅子の向きでも変えるんだな。」
人体について詳しく書かれた本をパラリパラリと読みながらサクサクと短く返す
目のやり場に困ると言いながらも“良い子”ちゃんはちゃっかり見るもんは見てる
“恋愛に興味無い”“もしかしたら同性愛者”の“完璧優等生”という噂は存外宛にならない
人の憶測で語られた“湖登波 陽彗”という存在は噂と違い、ツギハギが目立たないように精巧に作られた中身の無い人形のような存在だった
『いつか襲われるよ?』
「安心しろ、此処から出る時はちゃんと閉めてる。」
だから“人間”に戻してやった
雫にとって陽彗との関係はそれだけだった
本来“人間”と分類される個体を“人間”というカテゴリーに戻してやっただけ
それだけなのに陽彗はエアベッドで本を読む雫に近寄り本を奪って目を見つめながら
『襲われるよ?』
と再度伝えてくる
空っぽの人形に中身を詰めて人間に戻した
たかがそれだけで陽彗は雫という個体に全てを奪われた
最近だと友達よりも“友達でもなんでもない”自分との時間を優先にしてるらしい
“良い子”ちゃんが聞いて呆れる
「襲いたいのか?」
『うん。』
「…好きにしろ。」
陽彗は丁寧に机に本を置いてから甘えるように雫に擦り寄る
チュッチュと首筋にキスして汗ばたんだ雫の肌に舌を這わせて味わう
人間よりも狼に近いのかもな…なんて思いながら陽彗の求愛を眺め
ピンッと何かを思いついた
「陽彗。」
『…なに?雫。』
名前を呼ばれたら興奮冷めやらぬ状態でも口を離して潤んだ瞳なのにも関わらず目を合わせてくれる
狼よりも忠犬だ
「欲しいものがあるんだ、予定を空けろ。」
『何が欲しいの?』
「一切の金銭は発生しないが1人では手に入れられないものだ、協力して欲しい。」
『わかった、いつがいい?』
「出来るだけ早く。」
『じゃあ今日空いてるよ。』
陽彗は雫と会話をしながらも無意識に雫の下腹部に局部を擦り付けている
その感情があるなら今回欲しいものは簡単に手に入れられるはずだ
好奇心と興奮を覚えながらまるで褒めるように陽彗の頬や髪を撫で回してやった
早く学業施設から出れる時間になってほしい
楽しみ過ぎてついつい上がる口角をそのままに陽彗の可愛らしい求愛を受けていた
……
『本当に手土産とか買わなくて良いの?』
「要らん。」
『親御さんは?』
「どちらも不在だ。」
そんな会話をしながら炎天下から逃げるように陽彗の手を掴んで自分の家まで急ぐ
手に入るのならあの場でも良いのだが如何せん道具が足りない
だから早くソレらが揃ってる家に行きたい
『そんなに欲しいものってどんなものなの?』
「2つ欲しいが1つはとても貴重なものだ。1度失くしたらもう手に入らないかもしれない代物だよ。」
『…上手く協力出来るかな…。』
「安心しろ、陽彗。お前は手先が器用だ、なんなら集中力もある。」
『手先と集中力でなんとかなるものなんだ。』
早歩きで家に着いては鍵を使用して扉を開ける
“ただいま”も何も言わずにローファーを脱ぐ雫とは反対に“お邪魔します”と小さく行ってから靴を脱ぐ陽彗
それほど広くもなく小さくもない一軒家で靴を揃えてから雫は陽彗を洗面台に連れていき強制的に手洗いうがいをさせた
無論雫もやった
そして2階にある雫の自室に急かすよう陽彗を連れていく
初めての雫の家に緊張してるのか手が強ばってるが雫にとっては関係無い
「此処が私の部屋だ。何も触るな、清潔を保て。暇なら好きな物見てろ。必要なものを準備する。」
清潔感のある木目調の白い床に大きなベッド
勉強机と思わしき机の上には大きなパソコン
椅子は長時間座れるものを
大きな棚が3つもあって部屋は窮屈に見えなくもない
1つ目は服がしまってある棚
2つ目は様々な言語の小説や論文書
3つ目はホルマリン漬けにされた小動物や骨格模型、中には小さな目玉や脳みそが浮かんでるものもある
透明の標本ケースにはパッと見て名前が浮かばないものもある
陽彗が興味を持ったのは3つ目の棚だったらしい
『コレって本物?』
「あぁ、生きたまま持ち運ぶのが許されない外来種を捕ってその場で捌いたものもある。」
『このネズミは?』
「剥製だ。」
『骨格模型…』
「自分で作れるものは自作だ。」
『コレは?標本ケースに入ってるやつ。』
「厳重にされてるのはカビ。他は微生物。ドーム型のやつは虫だな。」
『凄いねぇ。』
「さ、自由時間は終わりだ。」
雫はベッド脇の小さなテーブルから本を退けてベッドに乗るには些か邪魔な位置に移動させる
自分の手を再度消毒液で清潔にしてから使い捨ての手袋を手際よく付けて
熱消毒済みのトレーには清潔なガーゼが敷かれ、上には膣洗浄機、クスコやメッツェンバウム剪刀、更に薄くて丸い標本ケースも乗せてある
無論全て消毒済みのものだ
ベッド近くにある小さなテーブルの上にトレーを置いて陽彗に使い捨ての手袋を装着させる
『な、ぇ、何するの?』
「欲しいものを手に入れるんだよ。」
『何が欲しいのか明確に教えて欲しい。』
「処女膜だ。」
『…ぇ……。』
陽彗は手に使い捨て手袋を付けられながら欲しいものの名称を聞いて軽く絶句した
そりゃそうだ、処女の女を欲しがる奴は居ても処女膜だけを欲しがる奴は珍しい
「前々から欲しかったんだが鏡と自分では難しくてな。」
『いや、その。』
「もう中を見る事も難しいから処女膜を拝むのも出来なかった…あぁ、良ければ写真も撮って欲しい。撮った後は私に送れ。あと手袋も付け替えるんだ、あそこにあるから。」
『でも俺男だよ!?』
「だからこそだ。女性器というものに興味はあるだろ?性器を見せ合うのは同性に比べ容易い。」
『確かに興味はあるけど…。』
「嫌なら断ってくれて構わない、別の協力者が現れるのを待…」
『やる。』
別の人間の気配を察知した瞬間陽彗は即答をした
コレが独占欲というものか…なんて思いながら制服のスカートをハラリと脱いで黒いレースの下着を脱ぐ
そして清潔な防水シート越しに枕やクッションを重ねて位置を調整して摘出の様が見えるように軽く上体を起こせる形にしつつその上にいそいそと寝転がった
「使い方は分かるか?」
『全然。』
「まず陽彗も近くに来い、ベッドの上より脇に座った方が見やすいだろ。」
『……女の子のって…こう…もっとグロいイメージがあった。』
「私は未経験だから色が薄いだけだ。」
『触ってもいい?』
「まずは膜の採取だ。」
雫はそう言ってから膣洗浄液のキャップを外して女性器の表面に軽く洗浄液をかけてから膣内に先端を挿入して中を綺麗にする
そして空になったものを器具に触れないように離して置き直し…後は陽彗にやってもらう為に指示をした
「その銀色の丸いヤツがあるだろ?クスコ膣鏡と言われるものだ。ソレを少しだけ挿入してから膣を広げて欲しい。少しだけだとアレだな…まずは1cm挿入して軽く広げてくれ、思ったより奥に膜があったらもう少し挿入して良い。」
陽彗は言われた通りにクスコを手に取り雫の柔らかな大陰唇を僅かに広げて膣に器具を軽く挿入した
そしてゆっくりと開いて
中は綺麗な色合いでくすみも何も無い
そして環状処女膜が露になる
『ど、どこまで切って良いの?』
「さぁな。」
『さぁなって…。』
「まずは形を教えて欲しい。」
『えっと…なんか…なみなみしてる?』
「ふむ、真ん中に隙間があるか?」
『ある。』
「じゃあそこから2mmくらいを目安に切り取ってくれ、クスコは私が固定しておく。そこの細い鋏があるだろ?アレを使うんだ。」
『…わかった。』
陽彗からクスコの持ち手を受け取り自分は開き過ぎず閉じ過ぎず、明かりの位置で影になりづらいように持ち手の位置を調整
その間陽彗は鋏を手に持って開き具合や閉じ具合を確認してから軽く息を吐く
「出来るか?」
『やる。』
「任せた。」
短い会話をしてからゆっくりとメッツェンバウム剪刀が膣内に入り
処女膜の1部をチャキッと小さな音を立てて切った
そして小さな金属音がチャキ…チャキ…と部屋に響く
お互い何も喋らないのは集中してるからなのと単純に痛いからである
処女膜も内臓の1部だ
ソレを麻酔無しで切除すれば相応に痛い
だがソレと同時にやっと手に入るという高揚感がアドレナリンの分泌を促して気持ちマシに感じた
『き…切れたよ……。』
「軽く挟んでケースに入れてくれ。」
陽彗はゆっくりと膣内から処女膜を取り出してケースに入れ、ちょいちょいと形を整えてからメッツェンバウム剪刀をガーゼの上に置いて初めて息をついた
雫もクスコを閉じて抜いてガーゼに置いてからキラッキラの瞳で標本ケースの蓋を閉めて持ち上げる
「こ、コレが処女膜…本で見るよりも感動的だ。上手く漬けて保存しておいてやるからな。」
キャッキャと下半身裸のまま喜んで愛おしそうにケースを撫でる雫を他所に陽彗は軽くベッドに寄りかかっていた
『痛くないの?』
「痛みより興奮が勝つに決まってるだろ!この日をどんなに待ち侘びた事か…。」
『嬉しいなら良かったよ。』
「という訳で次は2つ目だな。」
『…へ?』
ケースをガーゼに包んで勉強机に置いてから手袋を外してトレーの置いてある小さなテーブルを元の位置に戻す
さっさと防水シートを拭って小さく纏めてゴミ箱に詰めた
「言っただろう?2つ欲しいものがあるって。」
『でも今凄く疲れてるよ?出来る?』
「陽彗、お前は若い。出来る。」
『今度必要なのは若さなんだ…。』
雫は今度は少し縦長の標本ケースを持って来た
何に使うのか陽彗には検討も付かないだろう
1つ目が手に入った喜びと2つ目へのワクワクが止まらないのか歳相応のあどけない笑顔で陽彗に要求を話す
「2つ目は“精液”だ。脱げ。」
『……はい?』
「精液だ、ザーメンでも良い。」
『こ、この状況で?』
雫は標本ケースを両手に持ちながら陽彗の前にちょんっと座る
そして陽彗の胸に手を添えて渾身の上目遣いで一言発した
「…嫌か?」
『良いよ。』
「よし、なら脱げ。」
『…ぁ〜…も〜…。』
言質さえ取れればこちらのものだ
即座に立ち上がり上目遣いをやめてぽすぽすぽすとベッドを叩く
雫の渾身の上目遣いにまんまと引っかかった陽彗は顔を覆って悔しがる
そして今度は陽彗が下半身の衣服を脱ぐ番になった
ベルトを外して制服のスラックスを膝まで脱いでから黒い下着を下ろす
「なんだ、ノリ気じゃないか。」
『…思っても言わないでください…///』
初めて性器を露出させたからか顔を赤くして声も小さくなる
だが陽彗の男性器は重力に逆らうように持ち上がってる
ソレを見た雫は興味津々にツンと指先で陽彗のに触れた
『ちょっ!?///』
「どうせ精液を採取する為に刺激を与えるんだ。少しくらい観察させろ。」
『待って!恥ずかしい!1人でやる!///』
「!?待ってくれ!私はただ人間が射精する瞬間を見たいだけだから!」
『ソレを見られるのが恥ずかしい!///』
「じゃあ私は何を見せれば良い!?」
『そういう問題じゃなくて!///』
陽彗が恥ずかしくて下着もスラックスも上げる前に雫は夏用のワイシャツを脱いではブラも脱いでニーハイソックスだけになってから陽彗を無理やりベッドに座らせる
「いくらでも見て構わない、頼む。」
14歳にしては大きな乳房を陽彗に押し付ける
雫の体では精液を採取する事が出来ない
誰かと性行為を行ったとしても自分の分泌液やコンドームの潤滑剤などの不純物が混ざるから自慰行為してもらうのが1番良い
欲を言うなら射精する様やその際の男性器の特徴も見たい
だから手段は選ばない
『……わか……った…///』
「ちなみに唾液や愛液が混ざるのは困るから手伝い方は限られてる。陽彗が私に触れるのは良いが私はあまり尿道周りに触れられない。陽彗は右利きか?左利きか?とりあえず私に触れる時は利き手とは違う手で触れて欲しい。あと射精する時は目の前で見せて欲しい。」
『………………はい…。』
再度言質を頂いた為パッと離れてから注文をつらつらと並べながら手に持ってる標本ケースをフリフリする
その多い注文に陽彗は声を絞り出してからたどたどしく自分の性器に触れて上下に手を動かした
陽彗の足の間にちょこんと座るようにしてその様を興味津々に眺める
頬を赤らめて目線を逸らす陽彗の事なんてお構い無しだ
「少し触れて良いか?」
『い、良いよ///』
ちゃんと許可を得てから陽彗の睾丸に軽く手を触れる
熱くて時折ぴくんッと動き、柔らかいのに中に程よい固さを感じられる
自分には無い部位に興奮が隠せず睾丸の重さを手で計ったり付け根の部分をさわさわしたりと触れる手が止まらない
『雫…くすぐったい……///』
「はっ…すまない、あまりにも魅力的で…。」
『…俺も雫を触りたい…///』
「良いぞ、いくらでも触って良い。」
『…キスして…///』
まるでオネダリするように接吻を要求されればベッドに片膝を乗せて唇にキスをする
まるで陽彗が首筋や鎖骨、胸元にしてたように
…そういえば唇でキスをするのは初めてだ
口を離せば顔を赤らめて目をぱちくりさせる陽彗が居た
「口は間違いだったか?」
『俺…はじめて…。』
「私もだ。」
そう言ってから今度は間違えないように右手側に体を寄せて首にキスしたり鎖骨にキスしたりする
荒くなる息が伝わる中陽彗は右腕で雫を引き寄せて髪の香りを嗅いだり柔らかな胸を右手で揉んだりし始めた
直に触られるのは初めてだから少しだけ肩が跳ねる
いつもの求愛とは違う触り方だから驚いただけだと自分を誤魔化した
「私の匂いは好きか?」
陽彗はコクコクと頷く
「私の体は好きか?」
『…雫の全部好き。』
頷くだけかと思いきや言葉で返された
体という限定的な言葉に反論した結果なのかは分からないが右腕で強く抱き締められる
そこまで好かれる程の関係なのか?とも思うが…そう思ってくれるのならありがたい
人間は好意を抱いてる人に愛を囁かれるとドーパミンやオキシトシン、PEAが分泌されるからだ
「愛してるよ、陽彗。」
『!?ッぅあッ!?』
そう耳元で囁いた途端ビクッと陽彗の体が跳ねる
反射的に標本ケースを近づけた
危ない、採取が遅れる所だった
びゅっと出てくる白い液体は思った以上に濃くて粘度が高い
あと…
「多くないか?」
標本ケースの蓋が閉じれなくなる前に離したがパタタっと床に精液が飛ぶ
なんなら陽彗本人の手にも精液がべっとりと付着している
男性の平均射精量3mlという知識はあるが明らかに3mlとは思えない
ビクビクと男性器が跳ねて、ソレを握る手が震え、フッフッという浅い息が聞こえる
やっと止まったのか呼吸を整えようと必死になる陽彗の頭をポンポンと撫でながら標本ケースに入った精液を眺めた
これの中心くらいから少量採取して真空状態のパックに移し冷凍すれば精子は長持ちするだろうか
『しず…雫…雫…。』
「どうした?陽彗。」
『俺もすき、愛してる、好き。』
自分を強く抱きしめるこの男…多幸感を感じるホルモン分泌に慣れてないのではなかろうか
それか“良い子”で居るためにそういうものをシャットダウンしたのか
理由は分からないが自分に対しメロメロになってる陽彗の頭を優しく撫でてあげた
「陽彗…。」
『…なぁに?』
「収まらないのか?」
ずっと勃起状態の陽彗に問いかけたらこくんと頷かれた
興奮状態が続いてると勃ち続けてしまうというのは知識にある
本来なら自分は服を着て陽彗を落ち着かせるべきなんだろうけど
右腕が離れる事を許してくれないし
なんなら離れないように左腕も追加された
「…収まるまで付き合うよ…。」
散々煽ったツケくらいは払わなければいけない
……………………
「ぃ"ッンッッ♡ひせッ♡ま"っッ♡♡ﮩ٨ـﮩ♡ـﮩ٨ـﮩ!?♡♡」
もう二度とツケなんて払いたくないと思うくらいには陽彗の体力と性欲を甘くみていた
男という生物についての知識が足りなかった
採取に使えるかと思って購入し、使えないと判断していたボックスのコンドームが全部消費されたのは言うまでもない
お題:秘密の標本
〜あとがき〜
連日こんな作品で申し訳ないごめんなさい
11/2/2025, 5:39:46 PM