27(ツナ)

Open App

時を繋ぐ糸

糸電話が置いてある。
広い公園の小さな休憩所のテーブルの上にぽつんと。
糸の先はずーっと向こうにあるようで、どこにつながっているのか分からない。
好奇心に負けた僕は糸電話を取ってみる。
「も、もしもーし。誰かいますか?」
受話器を耳に当ててみた。
「……。」
「はっ、やっぱイタズラか。てかどこに繋がってんだ?これ。」
なんとなく反対側が気になって糸電話の糸の繋がる先を目指して歩いた。
10分くらい歩いたところでまた、公園の休憩所を見つけた、そこのテーブルに糸電話のもう片方が同じように置かれていた。
なんとなく、また受話器を耳に当ててみた。
「……。」
そりゃ、なんも聞こえないわな。
「…も、もしもーし。誰かいますか?」
ほっといて帰ろうとした時、そう、受話器から声が聞こえた。返事しようかと迷っていると続けて
「はっ、やっぱイタズラか。てかどこに繋がってんだ?これ。」と、聞こえてきた。

待てよ。このセリフ、さっき僕が言ったセリフと一字一句同じだ。
好奇心と恐怖心がせめぎ合ってる。
僕はその場で"10分前の僕"を待つことにした。

11/26/2025, 11:02:36 AM