今思えばあれは隕石だとか落雷だとかの類で、人の尺度で測ってはいけない存在だったのだ。記憶というものは儚くまた薄情なもので、過ぎ去った過去も苦い思い出も、かつて友人と呼んでいたものの顔すらも今では薄れてしまっている。放っておけばそうやって勝手に消えていくというのに、どうして僕は今日には春雨の中にいるみたいに掠れてしまった輪郭をなぞって、わざわざ明瞭に直そうとしているのだろう。【忘れたくても忘れられない】
10/18/2023, 7:08:32 AM