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「一つ質問していい?」
「なあに?いいよ笑」
「君はお米が大好きで、特に白米ご飯が大好きだった。それなのに急に世の中から白米が消えてしまった。突然のことだったから、君はどうしていいのかわからなかった。周りの人が君のことを心配してケーキとかお水をくれるんだけど、口にする気がわかなくて、でもどんどんお腹は空いていく。このままじゃ餓死しちゃうって時に炒飯を差し出してくれる人がいた。君は炒飯を食べる?それとも餓死してしまうかもしれないけれど白米がまた世界に戻ってくるのを待つ?」
「何その質問笑どんな意図があるの?」
「うーん、いろんな意図笑いいから答えて!」
彼は少し悩ましげな表情を浮かべて思案した後、
「僕だったら、きっと白米を待つんだろうな。自分でも馬鹿だと思うけど笑だって、それだけ白米が好きなんだったら炒飯のことなんて見られないよ。妥協して空腹に逆らえずに食べたとしても、それはそれで後悔するとおもうしね。君もそうなんじゃない?おんなじ答えでしょ」
と言って笑いかけてきた。
「きっと白米じゃなくて、ものすごくお腹が空いていたら炒飯を食べてしまう。けれど後悔すると思うの、なんで白米じゃなくて他の食べ物を食べてしまったんだろう、って。同じお米だからとか、もう白米はこの世界にないんだから似たものを食べて幸せになった方がいいっていうのはわかっているけれど、炒飯をくれた人に申し訳なくて。だって、自分の分を私にくれているんだよ?それなのに心から美味しいって、食べていて幸せってどうしても思えない。そう思うんだけどね笑周りの人に同じ質問をするとね、炒飯でいいってみんな言うの。だから私のこの選択は本当に馬鹿な選択だと思うんだ。」
春を待っている間の旅路の果てに、一つの答えが私の中で生まれた。
自分の心に嘘をついたり、言い聞かせたりしても自分も周りの人も傷つけてしまうということ。どうせ自分も傷つくのなら、私だけでいい。
「あのね、話したいことがあるんだ」
「返事?」
「…ううん、なんでもないやっぱ言えない笑」
どこまでも優しい人だ。人の気持ちがわかる人で、その分心の繊細さは私と同じくらいの人で。刺されたらどうなるかなんて刺されたことがあるから同じことはしたくなかった、刺したくなかった。けれどどうしてもやっぱり想いに答えることは無理だった。何故って自分の中でゆらぎない核心を持ってしまってるからで
私も彼もみんな幸せになるのは、きっと核心を折ってしまえばいいのだろう。現状折ろうとした。けど折っても幸せは手に入らない、それは偽物であると思った
長いような短いような旅路の果てに出た答え。
とても素敵な人だった。
幸せにしてくれる人だった。
けれど、私の気持ちがそうはさせてくれなかった。
この先どんな人と出会っても私の気持ちが変わらない限り幸せに離れないのだと、証明された瞬間だった。

1/31/2023, 4:31:24 PM