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1件のLINE

ピロリンッ、と軽快な音が静かだった部屋に響き渡る。

小説を書いていた手をぴたりと止めて顔を上げ、スマホを見やると1件、メッセージが。

少々返信をしようか迷った末に、LINEを開く。
すると目に入ったのは、1行の短いメッセージ。


応援してっからな!小説家大賞取れよ、努力家!


努力家…天才と言わないところが、彼の優しい人柄をよく表している。
天才と言われると、自分のしてきた努力が認められていない、何もせずに天から貰った才能みたいでいやだ、と言ったのを覚えていたのだろう。
しみじみとその言葉を見ていると、新たにピロリンッと写真が届いた。

……形容し難い変顔だ。これも実に彼らしい。

思わずくすっ、と笑い、短く


当たり前だろ、お人好し


と返す。
そうしてペンを持ち直し、紙と再びにらめっこを始める。

少しでもいい作品を書き上げられるようにと思い詰めながらも、先程の彼の変顔を頭にちらつかせながら、僕は先程よりも軽くなった頭と手で、再度文字を紡ぎだした。

7/11/2024, 11:18:19 AM