新しい彼女と駅前で待ち合わせていると、前の前の彼女と偶然鉢合わせた。大きな駅だからこれはまあよくある話なのだが、問題は向こうが一人だったことである。俺は一人ぼっちの女の子を置いておけないタチなのだ。
「お姉さん、いまひとり?俺も約束すっぽかされちゃってさ、良かったらお茶しない?」
と、非常によくあるナンパのテンプレを言っただけなのに彼女はわなわなと震えて鬼の顔をしながら
「結構よ。それと妹は今日来ないから」
と言い捨てて人混みに消えていった。
あちゃー。妹だったのか。俺の好みってわかりやすーい……。
「どうしよっかなあ」
予定がまるっと消えた俺はベンチに腰掛けて明後日の方をながめた。今日はもうナンパする気も起きない。
「トラウマもんだろあんなん」
地面に向かってため息をつくと、ポンと肩を叩かれた。見ると超が三つほど付きそうな美少女であった。
おお神よ!まだ俺を見捨てないでいてくれるのか。美少女から後光がさしてみえる。彼女はそっと近づいて言った。
「チャックあいてますよ」
11/6/2024, 12:04:23 AM