「どこまでも行こうか…。」
そんなうさんくさいセリフをよく言えるなと思ったが、胸奥でわくわくしている自分を否定することはできなかった。
「どこまでも…か。」
そう呟いていみる。自分で言ってから、これもどこか酔っているセリフだなと思った。
「そうどこまでも、どこまでも行けるよ!行くって決めたら…。」
「そりゃ…そうだけどさ。」
「行きたくないの?」
「そんな、好きじゃないの?みたいな言い方で聞くのはずるいよ。ただ、今のままでも幸せっていうか、僕にそのガッツみたいなものがないんだよ。ようは人より怠惰なんだ。自分を信じて、頑張って、そして面倒になってやめて、最後には怠惰な自分を責める。その繰り返しさ。
僕はまずその繰り返しから抜けたいのさ」
首をすくめると彼はふふっと笑った。
「何がおかしいの?」
「わかってるだろ?」
「……。」
嫌でも、君は進んでいるのさ。どんなに反抗しても何万十回繰り返しても、最後には着くのさ。どこまでも進むんだ。
彼はこう続けた。
「認めざるおえないね。まるで大好きなのに、嫌いって言っちゃう。え〜とあっツンデレなんだ!」
「ツンデレって…」
「僕のこと好きだろ?」
「は?」
「ほら、ツンデレだ。すぐに好きって言えない」
「いや…」
いや、の後何を言えばいいのかわからなかった。この人の言っていることをわからないようでわかっている。顔が赤くなる。
「僕が好きかい?」
「……。」
照れてしまう。彼がずいっと寄ってくる。
「好きだろ?」
「好き…だよ」
「じゃあ行こうよ。やろう!」
「やろうって言われても、多分うまくいかない。上手くいってるのかもわからない」
「大丈夫だよ。ほら、」
胸の奥をポンっと押された。
「わくわくしてる」
「ああ。うん」
「これがあればいいだけ。まずはそれだけあればいい」
「行こうよ!」
怖気付く。彼が一瞬寂しそうな顔をしたので胸に飛びついた。
「おっと…。」
抱きとめられる。微妙な空気が流れたあと、彼は歯に噛んでこう言った。
「きっと僕たち、どこまでも言っちゃうな」
とても嬉しいような、恥ずかしいような、彼に全てを見せて何かも暴いて欲しい。これからきっとそうなる。
それがとても楽しみで堪らなくなった。
「ドキドキしてるね」
「ワクワクしてるの」
「そりゃあ、とても良いことだ」
恐怖もなにもかも、彼と一緒に戯れようと思った。
『どこまでも』
10/12/2025, 1:52:39 PM