細い街路樹が止めどなく並ぶ道をわたしはただひたすらに歩いていた。
冷たい冬の風が木々の枯れた葉を揺らす。
もう時期、この街は灰色に支配され、木々も葉をみな落とし、深い眠りにつく時がくる。
冬を迎えても街路樹自体は芯の底で生きている。
けれど、わたしの足元に落ちた葉は命を枯らし、わたしが一歩、足を進める度に粉々に砕けてしまう。
そこにはもう命などなくて、輝きを放っていた姿さえ今はどこにも見当たらず
色褪せて抜け殻になってしまった姿だった。
無限に思える時間にも命にも、この街路樹にも、終わりはある。
それなのに、宛もなく彷徨うわたしには目的地などなくて、どこに辿り着けばよいのか答えが見つからない。
一体この先に何があるのか、何が待っているのか、何かが待っていてくれているのかさえ分からない。
母体から引き剥がされてしまった葉に、永遠の命などというものがなかったように、わたしの命にも限りがあり、
今はこうして一秒一秒を生き、果てしなく続くように思えていても
一つ息を吐く度に、この体から「生命」というものが抜け落ちては命を枯らして逝く。
そうしていつかは体から全ての「生命」が抜け落ちて、落ち葉のように砕け散ってゆくのであろう。
ーーーわたしを待ち受けるその日までに、わたしが止まるべき場所は見つかるのだろうか。
ーーーわたしが辿り着くべき場所はそこにあるのだろうか。
凍える身体を自分の腕で抱き締め、永遠に続くかと思われる街路樹をひとり、歩みを進めながら
今日も果てしない気持ちを早足で追いかけていく。
この世界の果てを、目指して。
1/15/2024, 11:14:15 AM