背の高い本棚に並ぶ無数の本、広い部屋にはインクと紙の独特な匂いが漂っている。いつもの席に座り、お気に入りの本を捲った。背中に暖かい日差しを感じて、ほっと息をつく。読み初めて約30分。隣の椅子を引く音に少しだけ耳を澄ませた。いつもの、お隣さん。誰なのか、何をしている人なのか、何も知らないし、言葉を交わすことも無い。それでもこの時間を共有する毎日は、何にも変えがたい大切な時間なのである。
3/10/2023, 2:53:18 PM