『こんなの不条理だ!!!』
この電車に乗っている人の殆どが
こんなふうに叫びたいような、でも叫べないから
モヤの中に自分をしまい込んでいるような表情を浮かべている気がした。
休日、クリスマスが近づいた頃の始発の山手線。
真っ黒なリュック、真っ黒なコート、手にはスマホ。
例にもれなく私もこの「制服」を着て
ガタコトと揺られているモブだ。
そんな中で目立つのは、
山にでも行くのか登山の格好をした中年のグループ。
顔は老けていても体力自慢で活き活きとしたその表情は幸せそうだ。ねずみのカチューシャをつけて眠っている子供とその家族。これから夢の国でも行くのだろうか?
ひと際存在感のある大柄な外国人の旅行客もいた。独特で強烈な香水の匂いももう慣れたけど。
眩しくて、疎ましい。
イヤホンを取り出して、昨日アップロードされた好きな歌手の新曲を聴いて気持ちをごまかそうとする。
主要駅で一気に人が降りていく。
空っぽになった電車でそれなりの孤独をいつも感じる。
アップテンポな曲はかえって私を悲しい気持ちにさせた。
いつも聴いているお気に入りのマイナー調の曲に戻して心を安定させる。
私はこの2つ先の駅で降りる予定だ。
スマホに表示された時刻を見る。
あと30分もすれば、またあの苦手な上司との9時間労働が待っている。ああ、嫌だ、と思った。
仕事があることも、衣食住に困らず生きられていることも
戦争が起きているような本当の不条理な世界から見ればちっぽけで平和ボケしている。
きっと、まともに幸せなんだと言い聞かせなければならないことも分かっている。
分かっているけど、
こんなの不条理だ!と叫びたくなることはやっぱりある。
それが今の日本、東京。
3/19/2024, 8:21:23 AM