ガルシア

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 元々、連絡を取ることは好きじゃない。画面に通知のバッジが付いていると気になるから表示を消しているし、通知センターで内容を把握して、緊急でなければ未読のまま返信を後回しすることだってしょっちゅうだ。友人には怒られるのだけれど、ひとつ言葉を返すのに驚くほど体力と精神を持っていかれる。どうして皆はあんな几帳面に連絡を続けられるのだろう。
 何気なしに通知を確認していると、新しく表示が増えた。見慣れてきたアイコンと名前、「ねぇ」の二文字。きゅうと縮み上がる心臓のまま少し見つめて待ってみるが、それ以上の通知は無い。
 あぁ、どうしよう。返信したら今時間があるのだと思われて頼み事をされるかもしれない。遊びに駆り出されるかもしれない。誘われたら最後、貴重な休日を犠牲にするか善意を断った自分に嫌悪感を抱くことになる。でも、もしかしたら緊急の用事なのかも。頭痛がする。連絡事項はすぐ伝えて欲しい。
 ぐるぐると頭が回る。通知の表示が四分前、五分前と返信しない私をちくちく責め立てる。あぁ嫌だ。現代のスピード感に着いていけない自分が悪いのだと辛くなる。辛いのだ。こんなに小さなことが、何よりも。


『1件のLINE』

7/11/2023, 2:32:43 PM