ミミッキュ

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"大好きな君に"

 入浴後、十分程ハナの相手をして日記をつけようと椅子に座って机に向かうと、机の上に置いていたスマホからメッセージの着信音が鳴り響いた。
 画面のロックを解除して、メッセージアプリのアイコンを見る。アイコンの右上に新着メッセージの数を表す数字が表示されている。示されている数字は【1】だ。アイコンをタップしてアプリを開き、新着マークが付いている一番上の個人チャットをタップして展開する。
【今度の日曜に物資が届く】
 一行の中に曜日と要件を短くまとめた、堅く簡素な仕事のメッセージだ。
 画面下のバーをタップ、キーボードを展開して文字を打って変換すると送信マークをタップする。
《了解》
 その二文字に続けて、文字打ちと変換を繰り返して誤字脱字が無いか、さらりと確認をして送信マークをタップする。
《いつぐらいに届く?》
 更に続けて、今度は空いている時間帯を提示する。
《昼頃は確実に空いてる》
 質問を含んだメッセージを送ると、十秒程で返信が帰ってきた。
【その頃に届くから問題無い】
 どうやら大丈夫らしい。
《じゃ昼頃行く》
【分かった
皆に伝えておく】
《助かる》
 スマホを机の上に置いて卓上カレンダーとボールペンを取り出し、今週の日曜の空欄の中に『昼頃CRに物資受け取り』と書き記すと、元の定位置に戻す。
 スマホのカレンダーにも書こうとスマホに目を向けようとすると、メッセージを受信した音が鳴った。まだ何かあるのか?、と不思議に思い画面を見る。
【その後渡したい物があるから少し待っていて欲しい】
 『渡したい物』という単語に、頭に疑問符が浮かぶ。疑問をそのまま文字にして送信する。
《渡したい物?》
 そう返すと、十秒以上の間が空く。これは、なんて返そうか迷っている時の間だ。二十秒程経ってメッセージが来る。
【秘密だ】
「……」
 答えになっていない、予想通りの返信に絶句する。
──やっぱりかーい。
 そして思わず心の中で突っ込んで天井を仰ぐ。
──これは絶対何かしてくるな。
 はぁ、と少し長めの溜息を吐きながら体勢を直して返信する。
《はいはい》
《期待しないで待っとく》
 既読が付いたのを見て、その後メッセージが送られてこないのを確認するとメッセージアプリを閉じ、スマホを日記帳の横に置く。
──考えても仕方ない。
 疑問を振り払うように頭を振り、日記帳を開いてシャーペンを手に取った。

3/4/2024, 12:41:01 PM