透明な器に、満ちていく雫。こぼれそうでこぼれない。その僅かのところを、否応無しに保っている。
満ちるほど心は空虚で、いっそ溢れてしまえば楽なのに、それも叶わない。何も捉えたがらなくなった、ぼやけた視界。目的を持たないことが、こんなにも輪郭を不鮮明にすると知る。
熱も失せ、けれど冷やかにもなれず。得も言われぬ温さを手放せないまま、日が暮れる。いっそ悲しみに暮れて泣いてしまえたら、終わりにできるのに。
そのための決定打にも欠くまま、未だ心は、いつかの瞳を忘れられないでいる。
〉鋭い眼差し
10/15/2022, 10:46:21 AM