—太陽と月—
「素敵なメロディだね。何て言う曲なの?」と彼女は窓から顔を覗かせて言った。
彼女はいつも僕のピアノの練習を見に来る。けれど、今弾いたこの曲はまだ聴かせたことがなかった。
「この曲は作ったばっかりでまだ曲名も歌詞もないんだ。どうかな?」
僕はピアノが大好きで毎日練習している。しかし作曲をする事は初めてだった。期待と不安が入り混じった気持ちで耳を傾ける。
「明るくて元気が出る曲だね。凄く好き。なんていうか……、心がパッと晴れる感じがする!」
ホッと胸を撫で下ろす。
「もし良かったらさ、私が作詞してみても良いかな?」
彼女も音楽が好きらしい。僕はもちろんOKの返事を出した。譜面をコピーして彼女に手渡す。
「出来るだけ早く完成できる様に頑張るね」
「うん、楽しみにしてる」
そう言うと、彼女の姿は見えなくなった。
作曲の際には、まず何を決めるか。それはテーマである。そのテーマを元に構想を膨らましていくのだ。
今回のテーマは『彼女』
明るくて、一緒に居て元気になる。そんな彼女を思い描いて作曲した。
彼女が紡ぐ歌を、心待ちにしながら僕はまた鍵盤に指を置いた。
お題:君が紡ぐ歌
10/20/2025, 6:27:51 AM