山の彼方の遠くの町に
ある日旅立った君よ
秋の静かな川辺の道を
歩きながら想いにふける
セイタカアワダチソウと
ススキが綺麗で
空は朝方の雨が
嘘のようにきらめき始める
あの日もう一つの物語を
僕が選んでいたなら
僕の前の道はどこへ
続いていたのだろうか
山の彼方の遠くの町に
もうすぐ冬が来るだろう
白い世界になって
すべてをつ包んでいくのだろう
大学を卒業する年
夜のプラットフォーム
寝台列車日本海に
乗り込んだ
少しのお菓子と
お酒を少し
やがて暗くなった車内は
静まり返っていた
朝の窓の向こうに
朝焼けと幾重も
砂浜に寄せる波
そして田んぼの連なりと
池と森を繰り返し
踏切を通り過ぎ
やがて東北の小さな町についた
もう一つの物語が
そこにはあるような気がしたよ
もうずっとずっと昔の話
10/29/2024, 11:26:30 PM