「『君が隠した鍵』という表現は正しいが、間違ってもいる。なぜなら──君こそが、この封印の鍵だからだ」
僕は言い、けれど彼女は、薄く微笑みを浮かべて僕を見つめているだけだった。
「どうして……最後の最後にこんな、残酷な事実を僕に突き付けるんだ?」
「フフッ。やだなぁ、簡単な二択だよ? 封印を解くか、解かないか──わたしに封印されてしまった"勇者の力"を取り戻して世界を救うか、それとも、救わないか。どっちを選ぶかなんて、わかりきってることじゃない?」
「……君を犠牲にして、世界を救え、と?」
「いーじゃない、べつに。だってわたしは勇者の敵、勇者を弱体化させるために遣わされた魔王様のしもべで、ああでも……情が、移っちゃった?」
彼女が、両方の腕を僕に向かって差し出しながら僕のほうへ、ゆっくりと歩みを進める。すぐにでも引き寄せ、この腕に抱きたい──いや、遠ざけなければ彼女は、僕に施した封印を解いてしまうんだ。
「あなたは、わたしが隠した鍵を見つけた。そしてわたしはもう逃げられない、ならさっさと鍵としての役目を果たして、全部終わりにしたいの。あなただって、こんなところでぐずぐずしてるわけにはいかないでしょう?」
僕の体に施されている封印が、鍵である彼女に反応して、熱を帯びる。……どうして、どうして君は、どうしたらいい、僕はこんな結末を望んでいない、でも、僕は……!
11/25/2025, 9:52:31 AM