それなりに長く付き合い、そして振られた相手がいた。その相手曰く自分は「死ぬほど長生きしそう」なのだと。何をもってそう感じたかは不明だが、少なくともまるで褒めていないのはわかる。とりあえずこの歳まで大した病気もせずにきた。今、いい歳になった自分より更にいい歳の恋人ができて思う。あれを褒め言葉と捉えてしまおうか、と。死ぬほど長生きするなら、寂しがりなこの人がひとり残されて泣くこともない。それなりに長く付き合う程度には好きだったから、あの言葉を忘れることもおそらくない。だったら都合良く解釈を捻じ曲げて楽に生きてもいい気がしたのだ。言わずにただ思うだけなら自由である。この人に過去の相手のことなんて言えば、逆に早死にしかねないことをされそうだが。
(題:失恋)
6/4/2024, 7:52:05 AM