kamo

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43失恋

失恋、という単語をスマホで打ち込むと、ムンクの「叫び」の絵文字が出てくる。失恋というのは本来、それほどつらく絶望的なものなのだ。

という話を友達のアキオにしたら
「『叫び』は幻聴や幻覚に苦しむ姿を描いたものらしいぞ。ぴったりだな」と言われた。
「おまえも早く幻覚ではないリアルの恋を見つけろよ」とも。「叫び」がそういう絵だというのは知らなかった。
それにしても、これだからアキオというやつはいただけない。
終わったのは幻覚の恋などではないのだ。
恋愛シミュレーション『ときめき学園』の人気キャラ、藤島かれん。頑張ってあらゆるパラメーターをあげても、彼女は振り向いてくれなかった。あんなリアルな「私、もっと向上心のある人が好きだな」などというセリフで男をフってくる女子が、幻覚などであるわけがない。僕は本当に、心から傷ついたのだ。
僕はもう一周、このゲームをする。
身も心も、すっかり、このゲームの世界に入り込んでいる。
もしかしたらさっき話したアキオという男も、ゲーム中で好感度を調べアイテムを渡してくれる「同性の親友」キャラかもしれない。さあどちらだろう。そんなことより早く、パラメーターをあげなくては。今度こそ、かれんへの告白を成功させるために。

6/4/2023, 8:50:40 AM