ふと、彼女と貝殻を拾った海辺に行きたくなった。長い髪が特徴的な美人の彼女は、ピンク色に煌めく宝石のようなそれを嬉々として私に見せてきた。
彼女の存在は私の支えだ。私は彼女が居ないと生きていけない。幸い、彼女自身も私が居ないと生きていけないのだから、別に困りはしないのだけれど。
「ねぇ、また貝殻拾おうよ。綺麗な海、見に行こうよ」
私が呼びかけると、彼女は嬉しそうに擦り寄ってきた。そして、離れて俯く。どうやら乗り気では無いようだ。彼女が喜んだ素振りを見せたのは私が話しかけたからで、海は嫌いなようだ。
「……行きたくないの?海」
「なんで、知ってるよね…?私が、海、苦手な事」
少し意地悪をしすぎたかもしれない。彼女は震えている。私は彼女の頭を優しく撫でて言った。
「ごめんね、冗談だよ。今日はゆっくりお家で過ごそうね」
「…私、心配だよ、二人で沈めた“もの”が、見つからないか」
9/5/2024, 12:34:17 PM