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屋上に続く階段を静かに上がると、思った通り屋上のドアの前に両膝を立てて座り、俯いて泣いているキミがいた。
「やっぱりここにいたか」
そっとつぶやいた声に、キミは肩をピクリと震わせ顔を上げる。
「どうして…」
流れる涙をそのままに、キミは驚き固まっている。
「どうして。って、落ち込んでるんじゃないかと思って」
俺がそう言うと、キミは嗚咽を漏らす。
「頑張ったね」
キミを抱きしめようと、キミの横に座り腕を伸ばすと
「優しくしないで」
キミは拒絶するように俺の腕を掴まえ
「優しくされたら、あなたの優しさに頼り切ってしまいそうだから」
泣きながら言う。
「大丈夫、キミならそうはならないよ。だから、こんなときくらい優しくさせて」
笑顔を向けると、掴んでいた腕の力が緩む。
「ずっとそばにいるよ」
泣き止むまで、そっとキミを抱きしめたのだった。

5/3/2023, 9:29:45 AM