『静かな夜明け』
寒かったので、ホットココアを淹れてチョコレートを一粒口に含む。
今は寒波が到来中で、今日明日が寒さの底らしい。
深夜の作業は手がかじかむけれど、この静けさはなにものにも代えがたい。
しんと静まり返った部屋の中で、ひとり耳を澄ます。
生き物たちの眠る音、夜が更けゆく音。
それを身体に取り込んで、指先から出力する。
言葉を曼荼羅のように編み上げる。
時折綻びを見つけては修正を繰り返す。
行ったり来たり。なかなか先へと進まないが、そこを怠っては目も当てられないものになるのだ。
集中力が途切れたので窓の外へ目をやる。
夜の底が白くなった――という一文を思い出す。
あれは雪国の景色だったけど、明け方の空も白くなる。
光が差し始める前のほんの一瞬。夜と朝のあわいがそこにはあるのだ。
2/7/2025, 8:24:45 AM