#何気ないふり
貴方は、何気ないふりが上手すぎる。
聞いてしまった。
「あいつ、お前のこと好きらしいよ」って、あんな軽い声で大切な事を。
その瞬間の貴方の顔、ちゃんと見てたよ。
少しだけ困ったみたいに笑って、曖昧に濁して、すぐに話を逸らした。
終わったんだな、って。
言葉にされるより先に、勝手に理解してしまった。
なのに。
どうして、何もなかったみたいに隣にいるの。
どうして、同じ距離で話しかけてくるの。
どうして、その声で名前を呼ぶの。
優しいから、だよね。
貴方は何も切り捨てられない。
誰に対しても、穏やかで、柔らかくて、誠実で。
そんなところに惹かれてしまったから。
ねえ、知ってる?
貴方の周りにいる奴ら、全部、嫌い。
貴方に触れるもの、貴方の名前を呼ぶ声、貴方に笑いかける視線——全部。
特に、「お前」なんて呼び方。
あんな雑な言葉で、貴方を扱っていいはずがないのに。
こんなふうに執着してるなんて、知らなかったでしょ。
ちゃんと壊れ損ねてしまった。
中途半端に残ったまま、腐って、濁って、消えもしない。
でも、貴方は知らないままでいい。
知らないまま、いつも通り笑っていて欲しい。
貴方の何気なさに、勝手に意味を見つけて、
勝手に期待して、勝手に傷ついて。
それでも諦められないのは、
そんな貴方が、この世の何よりも綺麗だから。
3/30/2026, 11:16:17 AM