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もう僕は、君の涙を拭ってあげられないから

「泣かないで」

その言葉はやはり彼女には届いていないようだった。

お供え用の花を抱えながらずっと泣いている彼女。
せめて君の笑顔を見てから逝きたいと思うのはわがままだろうか。

涙で濡れている彼女の頬に触れてみる。

雫は依然として流れたままで、
僕の手が透けていることが強調されただけだった。






『泣かないで』

11/30/2023, 6:20:08 PM