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今日は彼とのデートなので気合を入れてメイクをする。
もちろん同棲してすっぴんを見られているから
メイクしても意味ないかもしれないけど
彼には少しでもドキドキして欲しいから
いつもより少しだけ時間がかかっていた。

彼はなんの文句も言わずに待っててくれた。
「おまたせ」
その声で彼は顔を上げる。

「めっちゃ可愛い。綺麗だね。
今日のデートは俺にエスコートさせて」

いつも彼はストレートに言ってくれるから
私もドキドキしちゃう。
考えてみればいつも彼にエスコートされてる気がすると
思いながら頷いた。
頷いたのを確認して
彼は水族館に着いた。

「ここ覚えてる?」

「うん,覚えてるよ。」

私は彼がここを覚えてくれたことに驚いた。
ここは彼が私に告白してくれた日に行った
水族館だった。

「もう5年経つんだね」

「うん,なんか言葉にすると長いように感じるけど
感覚としては短いようにも感じる」

「うん,そうだね。5年経った感じしないね。」

そう言いながら
彼と水槽の中でゆっくり泳ぐお魚を見てまわった。
小さいカラフルなお魚や
大きくて早く泳ぐお魚
ぷかぷか波に身を任せるクラゲを見て
とても癒された。

少し外が暗くなってきた頃
「あのさ,今日は店予約してあるから
そろそろ行かない?」

「えっ?予約したの?」

「うん。めっちゃ頑張った笑」

「ありがとう!」

もう予約した店に着く頃には外は暗くなっていた。

「えっ!?待ってここ!?」

「うん,ここ。」

私がこう驚くのは無理もないだって
一ヶ月前にテレビでやってた
2年先まで予約がうまってる店で紹介されていたから。

私は落ち着かないまま席に案内された。
「ねぇ,緊張しすぎ」
彼には笑われたがそれどころじゃなかった。

「ねぇ,服変じゃない?
マジでやばいんだけど。
ほんとにありがとう!」

どの料理も美味しくて幸せだった。

料理もこれで最後の頃
彼が急に落ち着きがないように見えた。
「ねぇ,大丈夫?」

「え?あぁ大丈夫」

「...あのさ5年付き合ってきて
お互いいいところも悪い所も見てきたと思うけど
俺はずっと君を好きだし愛し続けるよ。
だから結婚してください。」

「え?嬉しい。こちらこそよろしくお願いします。」

彼は潤んだ目で私を見てて
私はメイクを気にすることも忘れて泣いた。
彼といるから毎日幸せで溢れる日だったけど

今日はいつもと違う特別な夜

あなたに私の一生をあげるから
あなたも私に一生をちょうだい。

ずっとずっとあなたが好きよ





─────『特別な夜』

1/22/2023, 12:08:28 AM