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視界いっぱいの青空の中に、君はたたずんでいた。
ただ、遠くを見ながら、風に吹かれて立っていた。


その姿をずっと見ていたら、
溶ける、というか、透ける、というか。
そんな感覚を覚えた。

気づいたら、君がこの空に混じって、目の前から消えてしまうんじゃないかと。



そう感じた時にはすでに体が動いていて。
散らばった欠片をかき集めるかのように、君の後ろ姿を抱き締めていた。



「…どうしたの」
何の動揺もなさそうな声で、君が聞いてくる。
「いなくなりそうで」
「……安心して。何処に行ったって、帰るところはここしかないよ」
そう言って君は、こわばっていた僕の腕に、そっと手を重ねた。




【空に溶ける】

5/20/2025, 2:57:04 PM