12.理想郷
私が新転地に着く頃には、後悔の念は消えていた、と言いたいところだが、そうはいかなかった。
昔の思い出が鮮明に蘇ってきて、心が締め付けられる。人間関係が終了して、景色がシャットダウンしていく。
もう戻れないことは分かっているけれど、どうしても故郷のことばかり思ってしまう。これからこの地でうまくやっていく自信がないのに加え、あの地の哀愁が重なり合う。もはや、依存と言ってもいいだろう。
私はその思考から抜け出すことができず、このまましばらく苦悩を感じた。
10/31/2024, 3:22:28 PM