センチメタル

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 お題:【安心と不安】


 雪を降らすべき雲は枯れ、曇りひとつない青空には乾いた風が流れる。

 空気を吸い込めば喉が乾き、鋭く冷たい感覚が体の内側を占拠していく。

 酸素の循環、吐き捨てた二酸化炭素は、白い息となって宙を溶けた。


 それは幻想的でも、非現実的でもない、普段の日常にありふれた、当たり前の光景。

 見た目の良い防寒着で包んだ身体が震える。
 大きなマフラーを両手で握りしめて、胸に押し付ける。

 胸に伝わるほんのりとした暖かさと、握りしめられた両手が上げる悲鳴。

 私は、この日常が好きだ。

 本当に少しだけの、些細な幸福が、大好きだ。


 普段から繰り返すような、自問自答。
 汚れた水面に物を沈め、汚すかのような行為。

 けど、この瞬間だけは違う。

 日差しによって引き起こされる雪解けのように、心に溜め込んだ何かが、解けていくかのようだ。

1/25/2024, 1:31:17 PM