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夢なら覚めて欲しかった、それでもこの別れは僕らに必要不可欠なものだったんだ。
「愛してるよ。」
僕の声は震えていて、もう今ではこの言葉に絡まれた決意も揺らいでいるんだ。
それでも愛していたのには変わりなくて、夜空の星を眺めては自分が器が小さいだけではないかとも考えた。
ただ、長年連れ添ってきた僕の友人の横で楽しそうに笑う君を見てしまったら気づいたんだ。
楽しそうに笑い合う君と僕の親友。
それを眺めてただ情けなく泣くだけの僕。
どっちの方が君を幸せにできるか明確だった、それを改めて感じてしまった。
僕という人間は君の横に立つには、あまりに単純で幼すぎたみたいだ。
まだ、君が僕の隣にいてくれると期待している自分を明日に先送りにして携帯に手を伸ばす。
充電していたせいか、とても熱く感じる。
覚悟を決めて別れを告げるには、あまりに簡単すぎて愛を伝えるよりも別れの方が気楽で軽く感じた。
君からの返信を待つことなく、流れ作業のようにブロックして目を閉じる。
瞼に浮かぶ光景に嗚咽が自然と出てしまっていた。
夜空に浮かび毎夜光る星と月はあまりにも眩しすぎる、きっと涙はそのせいだ。

7/5/2022, 10:59:08 PM