恋人たちの好きな色は鮮やかな水色で、その中でも空色が特に好きなのだ。
青年は仕事柄ヘリに乗ることもある。その空を見ていると鳥になったような錯覚を覚える瞬間があった。
その話を恋人にすると、彼女は目をきらきら輝かせる
「羨ましいです! 鳥になってその空を見てみたいです!」
そう告げる彼女に青年は苦笑いをした。
「鳥になったら、俺が一人になっちゃうからダメ」
青年は彼女の手を取り、その細い指を絡め取る。それは彼女に〝離さない〟と言うようだった。
おわり
お題:鳥になって
8/21/2024, 12:48:32 PM