花とは本来強いものだ。
園芸種だなんだと言っても、育てる環境を大外ししなければそこそこ育つし花も咲く。
繊細な見た目の、例えば撫子だって土の下では根を張り、競うように茎を伸ばして花を大きく広げ、花粉の媒介者たる虫たちを呼び込んでいる。
我家の庭には、そんな繊細さとは無縁な猛者たちがひしめき合っている。
大輪の紫がこぼれ落ちるように咲くクレマチス、大量の房咲きバラが一斉に開花して一斉に散り、ラベンダー、ダリア、デルフィニウム、それから名前を失念してしまった花たち。
花壇の主のポンコツぶりはともかく、花は名などなくとも咲く。その花から生まれたひと粒のこぼれ種は、次のシーズンに新たな花を咲かせる。いい加減な世話をされながら、土中や飛来する小さな生き物たちとともに、あるいは逞しく戦いながら。
本当に繊細な花というのは意外と少ないのかもしれない。
6/25/2024, 9:05:16 PM