✝しがない高校生✝

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時計の針

────チッチッチッ

目が覚めるとそこは初めて見るような景色、
隣には砂で汚れた服のおじさんが座って
腕を組みながら眠っていた。
部屋を見回すと工具箱や様々な植物に
窓から差し込む光が暖かくて
なんて神秘的なんだろう、と僕は思った。
数分後、おじさんは目を覚まし
僕を見るなり心配をしてくれた。
おじさんの名前はカールというらしい。
カールおじさんは家の近くで僕が怪我をし
倒れているのを見つけて助けた事、
目が覚めるのに三週間も経っていたこと、
ここの街のことについて
一つ一つ丁寧に話してくれた。
僕はまだこの情状を飲み込めなかったが
食べやすい料理や服など面倒を見てくれる
カールおじさんの優しさで安心していった。

────しばらく経ち、僕が回復した頃

カールおじさんは僕にサプライズで
小さめの時計をプレゼントしてくれた。
英語で書かれた僕の名前が刷ってある
銅色のとても綺麗な時計だった。
その時計の針はチッチッチッとリズム良く
落ち着くようなゆったりとした音色。
僕はその時計に見惚れて
嬉しくてカールおじさんに抱きついた。
僕は一言、震えながらカールおじさんに届ける。

「これは一生の宝物だ!」

2/6/2024, 11:10:54 AM