胡座孝太郎

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まばらに雨が降る音を聞きながら、孤独ではないと嘯く。
誰に言うわけでも聞かれるわけでもないというのに。
炬燵の中はいつもよりも冷たく、そこにいるはずの誰かの影の後じっと眺めている。
これで良い。これで良いのだ。
これが強がりかそうでないかは自分が痛いほど知っている。だが、言わずには居れないのだ。
一時の幻想に過ぎなかったというのに。一度知ってしまった温もりは我が身の髄まで犯し、毒してしまった。もはやここから立ち上がれやしない。ゲル状になった己を情けなくも有り難く感じた。
窓の外はビュゥビュゥと風が吹いている。
彼女に会いたい。今すぐに会いたい。何よりも会いたい。
遠い海の上で働く彼女に。

この時ばかりは縦横無尽に空を駆け巡るサンタが羨ましくなった。

『クリスマスの過ごし方』

12/25/2022, 5:47:41 PM