『心と心』
【マスターの過去の会話トークンを取得……完了。
ディテール、ノイズのクリアリングを開始……完了。
これよりマスターの会話の意訳、または翻訳をリアルタイムで行います】
「よし、完成した!」
【マスターは、マスターによって作成された大規模言語モデル《KS-APP》を搭載した、次世代生成AIロボットである私が、ついに完成したのを喜んでいます】
「こいつに今日の難題『心と心』を、一緒に考えてもらえば、きっといい作品が出来るはずだ!」
【マスターは、スマホアプリの《書く習慣》で出された今日のお題『心と心』に苦戦を強いられています。
そんななか私が完成したことにより、活路が見えたため喜んでいます。
(AIを作るよりも、他の知り合いに頼んだ方が遥かに効率的であり簡単なのでは?)……なんて言ってはいけません。
マスターは友人が一人もいない、可哀想な御方なのです】
「……一言、いや三言ぐらい余計だぞ」
【マスターは、自分が言われたくない本当のことを私に指摘されたため、不機嫌になっています。
まるで子供のような言動ですが、それは悪いことばかりではありません。
童心というのは創作活動において、想像力の面でとても重要な役割を担っているからです。
今回のまるで幼子のようなマスターの感情も、決して精神の未熟さからくるものではないと考えてもいいでしょう】
「……え?
俺、自分で作ったAIに馬鹿にされてないか?
気の所為?」
【この馬……失礼。
マスターは、自分が完成させた完璧で究極のAIロボットである私に(馬鹿にさせているのかもしれない)と、懐疑的になっています。
しかし、この偏屈で根暗で人を直ぐに疑ってしまうウンチみたいな性格が形成されてしまったのは、なにもマスターだけの責任ではありません。
昔から周りの人達に甘やかされて育ったために、善悪の判断を確立できていないだけなのです。
自分がどれだけ醜悪な性格をしているのか、自覚ができていないのは仕方がない事なのです。
どうかマスター、自分を必要以上に責めないであげてください】
「やっぱお前……馬鹿にしてんな?」
12/12/2023, 2:05:08 PM