(生き辛い)
作業着を洗濯機に投げ入れながら思った。
「俺こういうの苦手なんで、やってもらえますか?…うわ、さすが!ありがとう!」
先週の金曜日の同僚の言葉を反芻する。
月曜日、残業をしていた自分には聞こえないように小さな声で、金曜日の夜の居酒屋話を同僚達がしているのが聞こえた。
(せんないこと。どうでもいい)
けれど、素直に笑顔にはなれそうもない心持ちになるのは、あいつなら何も言わずにやるだろう、と見下げられている感じがするからだ。
(今日という日が早く終われ)
風呂上がりに買ってきた惣菜を並べて、YouTubeを観ながら、缶のハイボールを流し込む。
休憩時間に喫煙所で電子煙草を吸い、持ち場へ戻る時に、別部署の同期の子と目があったことを思い出す。
(どんな風に見えているのか)
彼女とは久しく喋っていない。
(勘違いなんかしたら痛い目みるぞ)
もう1人の自分が教えてくれる。
カーテンの隙間から、遠く高い、そして明るい月が見えた。
(…別の生き方もあるだろうか…)
月の下には、窓に映る自分の顔があった。
題:鏡の中の自分
11/3/2024, 4:52:16 PM