ほろ

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冬用の白いジャージの上下と、薄い青のシューズ。靴紐が解けないように結んだら、朝のルーティンが始まる。

家を出て、まず最初にユリハネ公園へ行く。入口から見て左にある砂場に入って、10分間宝石を探す。
「きょ、う、は、ダイヤあるかな〜」
透明で小さな砂粒が、今日は18個。なかなかの収穫だ。
10分過ぎたら、次は反対側。2つのブランコが並んでいる横のベンチ。その真ん中に座って3分すると、公園の入口を新聞配達のアルバイトさんが通る。
「よし。今日もピッタリ」
それを合図に公園を出て、アルバイトさんが行った方向に走る。わたしが公園を出て8分後にアルバイトさんが折り返して戻ってくる。
「おはようございます」
「おはようございます、お疲れ様です」
いつも通りすれ違い、4つ目の信号を右へ行く。佐々木家の真っ白な犬をチラ見して、藤野家の朝顔を通り過ぎ、この辺では唯一のコンビニの前を通ると川が見える。
川に沿ってずぅっと右へ行くと、橋がある。
「8時17分。そろそろかな」
橋を渡る。1キロ先、左手。そこに、できたばかりのケーキ屋がある。わたしの、最近のお気に入り。
「うん、今日もいい香り」
仄かに香るケーキの甘い匂い。朝にこの匂いに包まれるのが、朝のルーティンの終点であり、仕事の始まり。
「おはようございます」
店に入ると、パティシエールがひょいと顔を出す。
「おはよう、カヨちゃん。朝からごめんね。今日もよろしく!」
「はい、よろしくお願いします」
更衣室でジャージとシューズを仕事用に替えたら、ここから仕事が始まる。
「よし、今日も頑張るぞ」

2/17/2024, 2:01:15 PM