導(しるべ)

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キンコンカンコン、半端に間延びした鐘の音が校舎全体に響く。
それは、もちろん生徒会室も例外ではない。
蝉が鳴き、日差しが体に容赦なく照りつけるある夏の日。
「みずきぃ~~……生徒会長権限でここにクーラーつけれたりしない…?」
「流石に無理…できたら苦労してないよ……」
書類を捌きながら会話をする。
外では大会に向けて部活動に勤しむサッカー部や野球部のかけ声、校舎内ではギターや小気味のいいドラムをならす軽音部やヴァイオリンやチェロの美しい音が聞こえる弦楽部。
それぞれの部活が、それぞれの時間とペースで青春の一ページを埋めつつある。
そんな中、生徒会室には多少の会話と蝉の鳴き声と紙がめくれる音が響く。
これも青春の一ページなのかな、とも思う。
ふと顔を上げるとチャイムの音が鳴って、気付けばもう夕方になっていた。

「やっばい!瑞希もう最終下校時間!!」
彼がそう言うから時計を見ると、時刻はとっくに六時を過ぎていた。
「本当、早く帰んないと!」
僕たちは急いで荷物を持って靴箱へと走った。
校門からでた瞬間、もう一度、キンコンカンコンと半端に間延びした鐘の音が響いた。

8/5/2024, 11:31:58 AM