月が揺蕩う。水面はこぼれたよるのかけらを、空から拾って煮詰めた孤独のような黒でゆらゆらと飲み込んでは、また降るかけらを拾っていた。静寂に寄せる波が足もとの、砂をさらってはもどす揺蕩う月が、ほんの少しの光をあつめて海月のように揺れる。ああ、この潮の香りに溶けてしまいたいそしてこのまま。このまま。「夜の海」
8/15/2023, 3:12:00 PM