「また、一年後ここで会おうね」
そう織姫は言ったくせに、今年の七夕、彼女は訪れなかった。
嘘つき。雨でも天の川のほとりには来るって言ったのに。
彼女は来ない。もう僕の前には。
織姫の心はもう他の男のところへ行ってしまった。
僕は川に身を投げる。恋に溺れて、命のともしびを自分で断つ。
織姫への想いを断ち切れないままーー
「見つけた、アンタ。織姫の生まれ変わりだろ」
「え、な、何。あなた」
「俺は天野星彦。七夕伝説の牽牛の記憶をもつ男だ」
「……は?」
「ひと目見てわかった。ビビビってきたぞ。アンタ、名前は?」
「お、織田姫子……」
「ほうらな、やっぱりだ。織姫、会いたかったぜ」
前世の記憶を持つのは、どうも彦星の方ばかりのようで。
この2人の恋物語、これより開幕?
#また会いましょう
11/13/2024, 2:11:54 PM