無名

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僕は今、親友の墓の前にいる。

親友は事故で亡くなった、とされている。

本当は違う。
彼はいじめられていて、殺されたんだ。

僕は見ていた。
彼が背中を押されるところを。

僕は見ていた。
でも体は動かなくて、あいつらが犯人だ。とも言えなかった。

怖かった。お前みたいに殺されたくなかった。

でもこれは言い訳。
僕はお前に死んでほしかったんだ。

恋も、家族も、成績も、顔、性格だって、
なにもかも勝てない。

もしあの時君を助けていたら。
僕はきっとずっと君のオマケとして生きることになっていただろう。

ごめんね。僕の勝手な子供みたいな対抗心のせいで。

それでも、それでも僕は今も君が憎くてたまらない。

5/29/2023, 1:19:26 PM