誰もがみんな、少なからず消し去りたい過去を抱えているものだ。日常のふとした瞬間にそれらを思い出して、たまらず奇声を発したり、ベッドの上をのたうち回ったりすることは多々ある。
いやいや、みんなはそれほど他人のことを気にしていない。あなたが恥ずかしいと思っていることも、周りからすれば取るに足らないことだろうし、きっと誰も覚えちゃいないよ。もう一人の自分が、そんなふうにやさしく語りかけてくる。それもそうだなと、私は無理やり納得する。
忌まわしき過去はさっさと思考の外に追いやって、おいしいものでも食べることにしよう。確か冷蔵庫にケーキがあった。苦々しい記憶も、甘ったるい生クリームでまるごと上塗りしてしまえばいい。
ショートケーキは幸福の味がする。ひとくち食べれば、なんだかどうでもよくなった。どんなに恥ずかしい過去があろうが、今この瞬間はおいしいケーキを食べて幸せを感じているのだから、結果オーライ。
むしろ「恥さらし上等」の気持ちで生きたほうが健全なのかもしれない。過ぎたことを気に病んでクヨクヨするよりは。
そうは言っても、やはりクヨクヨせずにはいられないのが私という人間だ。きっとこの先も、過去の自分の痛々しい言動を思い出すたびに発狂しては、発作のようにケーキを喰らう日々を繰り返すのだろう。
コージーコーナーに足繁く通い、自宅の冷凍庫の引き出しを保冷剤でパンパンにする。それが「生きる」ということだと、私は思う。
【テーマ:誰もがみんな】
2/10/2026, 3:43:59 PM