「さっとしくーん!」
その声がして教室のドアを見ると、俺の幼馴染の翔くんがにこにこしながら手を振っていた。
彼とは幼稚園からの付き合いでいつも傍にいてくれる親友である。高校も一緒で、俺より勉強ができる翔くんはもっと頭の良い高校に行けたのだが、『智くんと一緒にいられないなら意味ないよ』と告白もどきの言葉を言ってきて、そういうことは女の子に言ってあげなよ、と返したのを覚えている。
帰り道、翔くんは今日あの先生が厳しかった、とか体育の時間に靴紐が3回もほどけた、とか学校であったことをいっぱい話してくれた。くだらない話でも笑っていられるこの時間が、俺はとても好きなんだ。
「翔くんってどーでもいい話でも面白い話に変えるよね」
「ああ、ありがとう…って今どうでもいいって言った!?え、言ったよね!?」
「あははっ」
2人顔を見合って笑う。
いつまでもこの時間が続けばいい。
そして明日も、また一緒に帰るんだ。
11/14/2025, 12:40:26 PM