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 つい最近娘が結婚式を挙げた。入籍は昨年のうちに済ませていたけれど、式場の都合で挙式だけ年明けになったのだ。
 純白のウエディングドレス姿は、今まで見てきた中で一番美しく、とても輝いていた。ついこの間までよちよち歩いていた気がするのに。
 イヤイヤ期とか反抗期とか。こちらが精神的に参ってしまう出来事も多かった。でも入学式や卒業式、成人式などの節目を迎えるたび、嫌なことは全部吹き飛んでいった。毎回子どもの成長が嬉しくて泣いてしまうからだ。


「絶対振袖はピンク!俺の娘はピンクが似合うから。それで結婚式は絶対ドレス! このプリンセスラインってやつ! お色直しはもちろんピンクにしよう」


 娘と一緒に昔から口酸っぱく言われてきた言葉。振袖を決める時も、ドレスを決める時も立ち合わせてもらえたのだが。色々着てみても結局あなたの言っていたとおりだった。
 ハイハイした時、掴まり立ちした時、歩き出した時、初めて喋った時。幼い娘を二人で四苦八苦しながら育てていたはずなのに。あんなに幼い娘を通して、あの時のあなたは一体何を見ていたのだろう。

 隣の席へ目を向けても、そこには誰もいない。
 テーブルの上に置かれた写真立ての中で、あなたはただ微笑んでいるだけだった。

 見せてあげたかった。
 あの子の人生最大の幸せな姿を。



 
『もしも未来を見れるなら』

4/19/2024, 11:00:38 PM