城月凜珠(しろつきりず)

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『白い吐息』

 
吐いた息が 真っ白だった

裸の指先が 刺されたように痛い

冷たさで ふいに
背筋がピンと立つ


慌ただしく並び始めた 
門松の向こうに

チョコレートの匂いと
舞い散る桜吹雪の色が 霞む


息を吐く私は 
スローモーションで動いてる

桜前線が来ない
もみの木の下で

瞳に映るのは
葉っぱだけ



深くついた息は やけに重たかった

12/8/2025, 12:41:14 PM