エリィ

Open App

オアシス 2025.7.28
 
暑く枯れた 砂の波を漂い
いき続けようともがく
海の乙女
永遠を夢見た
乙女よ、海の乙女よ。

彼方に響く海鳴りを遠く
聞き続けて、なお。
故郷(くに)に帰ることも出来ぬまま
今朝もまた、海に戻る望みを胸に
今宵を夢見て砂を渡る

さらば
沈んでいった思いよ
砂の中に
切なさを沈めよ
そして

漂うそのさきに視えるは
塵のように浮かぶ星
月は
天空に浮かび、願いの星々が希望への
扉を開く

涙と共にたどり着く
にじんだ夜の、この先に広がる砂原のなかに
ぬばたまのこの黒髪をなびかせて
眠ることのなきまま、はるかに見える水場にたどり着く
望み、安らぎ、そして乞い願ったあの場所に

………彼女はいのちを振り絞り
   水に己を浸そうと
   いたんだ足を進ませば
   そこは、夢かまぼろしか
   冷たき水が足先に
   
   乙女よ、今宵は安らかに休みたまえ

7/28/2025, 6:17:17 AM