しぎい

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上部に砂糖がまぶされた大きいだけが取り柄の菓子パンをぼんやりとかじる。
なつかしいといえば聞こえはいいが、実際はその安っぽさを「なつかしい」という響きのいい言葉で脳がごまかしているだけだ。
チープな味、と味の正体を看破した中学生の頃から現在進行形で食べてきた味である。習慣に感慨もへったくれもない。

ぼろ、と砂糖がベッドの上にこぼれるのも構わず、砂を噛むような心地でパンを平らげる。これで今日のノルマ終わり、と最後の一口を押し込みながら、暗闇の中ではいっそう目を刺してくるようなスマートフォンの画面を眺めた。

境目が曖昧なアナログ時計と違って、デジタル時計は分刻みで真実を叩きつけてくる。

4/29/2025, 8:52:49 AM