与太ガラス

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 なんとか流星群が地球に近づいていた。星のかけらが地球へと降り注ぐ。人の目には美しい天体現象だが、星のかけらにとっては最期に煌めく一瞬の輝きだ。

 誰かの死に際に願いを捧げるというのは、神や仏に祈るのと同じ風習なのかもしれない。

 流れ星が彗星から剥がれ落ちた星のかけらなら、我々人間もこの地球から生まれた星のかけらだろうか。

 あれはハレー彗星が話題になった頃だったか、その時分に恋仲だった人に

「彗星の別名はほうき星と言ってね、長い光のしっぽを出しながら通り過ぎるだろう? それがほうきの姿に似ているからそう呼ばれているんだ」

 などと高説を垂れたことがある。

「そのほうきの部分は彗星が撒き散らす塵で、流れ星の素なんだよ」

 私は得意になってうんちくを述べた。すると相手は

「ふーん、ほうきなのに塵を集めずに撒き散らすんだ。掃除の時間に遊ぶ悪ガキじゃん」

 と返してきた。

 向こうは変な意図もなく素直な感想を述べたに過ぎないが、私は自分が散らかした能書きを上手く回収された気分になって、屑籠に飛び込みたくなった。


※この物語はフィクションです。事実を元にしたエッセイではありません。

1/10/2025, 12:27:28 AM